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手応えを今節の勝点3に、タフなアウェイでも勝つ!

前節・ファジアーノ岡山戦は2度追いついてのドロー。1点ビハインドの状況であきらめずに戦った結果、2点目は土壇場、アディショナルタイムだった。上位との対戦では勝たなければその差を縮めることはできない。勝点1で満足するわけにはいかないが、この試合で得た手応えがあるなら、次の勝点3をつかむためにも今後最大限に生かしたい。

「先に先制される難しい状況から粘り強く勝点1を取ったというものは、我々にとってベストな結果ではありませんが、負けないというところをしっかりと姿として示せました。そこをポジティブにとらえる面と、もっともっとやらなければいけないものをしっかりと見つめ直して修正していく部分と、その両面を持って残りのゲームに向かっていきたいと思います」(渡邉晋監督)

そのパフォーマンスを実現するために大きな障壁となるのが、中2日の日程にアウェイ移動の負担が伴うこと。中2日は選手のリカバリー状況を見極めるには期間が短く、今節の山口は、J2のアウェイ先のなかでも負担が大きい場所になる。難しい状況になるが、選ばれた先発11人、ベンチ含めて18人がそれぞれの役割を最大限に果たし、チームの勝利に貢献することになる。

レノファ山口FCは昨シーズンを残留ギリギリの20位で終えると、巻き返しを図る今シーズンはFC大阪で指揮を執っていた志垣良監督を招聘した。現在は5勝3分5敗、勝点18で10位。4月の5試合を2勝1分2敗で終えたあと、5月最初の前節・ベガルタ仙台戦では20分に池上丈二のゴールで先制したが、前半アディショナルタイムと後半アディショナルタイムに失点。逆転負けを喫し、今季初の連勝はお預けとなっている。また、この試合では前貴之が得点機会阻止で退場となり、今節は出場停止となる。

近年の山口はポゼッションスタイルを特徴としてきたが、志垣監督はそこに縦に速い攻撃と守備の強度を加えている。こぼれ球ダッシュ数はリーグトップ、シュート数、ラストパス数で2位と、前々節までのデータにもその成果が表れている。また、サイドからシンプルにクロスを上げるのも特徴。特にセットプレーのキッカーも務める左サイドバック・新保海鈴はクロス数が多く、その精度も高い。前節、クロスから失点を喫しているモンテディオとしては十分に警戒する必要がある。

現在、モンテディオの課題のひとつは、アウェイでの戦績。アウェイでは開幕2連勝のあと、5試合勝利なし。今後巻き返しを実現するためにも、今節の勝点3はなんとしてでも持ち帰りたい。

KEY PLAYER キープレイヤー

川井 歩 選手

ポジション DF
身長 177cm
体重 66kg
生年月日 1999/8/12
出身地 山口
前所属 レノファ山口FC

Ayumu KAWAI

チームの勝点を土壇場で0から1にし、ここまで結果を残せなかった有田稜を移籍後初ゴールに導く貴重なクロスは、川井歩から送られた。

このゴールの直前、押し込んだモンテディオは後藤優介がシュート。密集にブロックされペナルティーエリアの外にこぼれると、これを拾ったのは、ペナルティーエリアから引き返した川井。いくつか選択肢が見えるなか、選択したのは有田へのクロスだった。
「練習でもやってた形で、(川井)歩からすごくいいボールが入ったので、合わせるだけだった」と決めた有田。DAZNのインタビューでは「歩のボールが9割だったと思う」との発言も残している。

また、このアシストと同じかそれ以上のインパクトを残したのが、86分の決定機。右スペースへ運んだ後藤優からクロスが上がり、先に飛び込んだ有田がニアに引っ張ると、時間差で飛び込んだ川井はフリー。この絶好の決定機で仕留めることはできなかったが、序盤から運動量を上げてプレーしながらもあの時間にあの場所に飛び込めるのは、チームとしても大事にしたい能力だ。

前節は左サイドバックでプレーしたが、本職は右サイドバック。2節前の徳島戦でも内側のレーンを駆け上がり、深い位置からクロスを入れるシーンを何度も作っている。これまでも右肩上がりなど高い位置でプレーするケースは多かったが、ここへ来てポジションの取り方が洗練され、さらに相手陣内深く踏み込み得点に絡む動きが増えている。

昨年のちょうどいま頃、ゴールデンウィークの時期はベンチ外の試合が続いていた。8連敗のチームで重責を感じながら先発出場を続けるうちに、心身ともに不調を訴える状態になってしまったからだ。その経験をしたあと、川井はこう語っている。

「サッカーの楽しさであったり、試合ができる幸せみたいなのを忘れかけていました。その(離脱していた)時間で、サッカーは楽しいんだぞとか、試合に出れる幸せというのを、もう1回思い出すことができました」

どん底を味わったからこそ再確認できたことを、もう手放したりしない。今年1月には愛娘が誕生し、さらに頑張る理由ができたのなら、なおのこと。

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Shintaro KOKUBU