石丸清隆新監督就任会見コメント
2020年1月9日にNDソフトスタジアム山形内記者会見室で開催された、石丸清隆新監督就任会見でのコメント及び質疑応答をご紹介します。
挨拶(株式会社モンテディオ山形 代表取締役社長 相田健太郎)
皆さん新年あけましておめでとうございます。昨年は色々とお世話になりました。今シーズンも引き続きよろしくお願いいたします。
本日は石丸新監督の就任会見にお集まりいただき、誠にありがとうございます。
昨年チームとしては成績が6位でプレーオフに進出し、また事業側でも17万4千人を超えるお客様に来場頂き、一試合平均8200人以上の方にご来場いただきました。
2020年を迎えるにあたって、クラブとして大きな土台が出来た一年だったと考えております。
そんな中、木山前監督が昨年まで指揮をとっていただきましたが、本シーズンより石丸監督にご着任いただきました。
我々としては、昨年木山監督が3年間かけて作っていただいたものをベースに、石丸監督が持っていらっしゃる全てのスキルを、今あるものに乗せていただくことで、チームが新たな能力を発揮できるのではないかと考えております。
チームが大きな前進をするための一年になればと思っております。
石丸清隆新監督紹介(強化部長 高山明泰)
私から監督の就任を依頼させていただいた経緯について、簡単ではありますが説明をさせていただきます。
J2というリーグを戦っていく監督の人選において、J2の監督の経験をされている方、またJ1・J2を現場のところでレベル感を肌で感じられている方をまず考えました。
昨年まで木山前監督、並びに今までの方々の監督によって築き上げられてきた、守備意識の高さというところは、山形として大事にしてきた部分であり、我々のカラーでもあると思っています。その良い部分をベースにしたうえで、新たな要素を加えていただける方に依頼をしたいと考えていました。
強化担当として仕事をしていく中で、常々他のクラブがどんなチーム作りをしていて、どんなサッカーを展開しているのかを注目しております。
石丸監督が愛媛時代は比較的攻撃の方に注力したチームづくりをされておられました。
個の力に頼るだけでなく、組織で連携をしながら崩しに入っていくような再現性のある攻撃をされているのが印象的でした。
その後、京都で監督をされた時は、クラブの置かれている立ち位置などを見極めた中で、守備の整備をしながら、組織の中に強烈な個をうまくミックスさせたチームづくりをされていた印象を持っていました。
大事にしていきたい守備面に加え、攻撃面について、新たな要素、バリエーションを加えられる方だと思いました。
また、我々は近年、チーム編成において比較的若い選手を多く獲得しています。
若い選手達は、今の時点で全てが揃っているわけではありませんが、良い部分を持ち、伸びしろがあります。その選手たちをトレーニングの中で個人を向上させることでチームの力も向上させることを大事にしたいと思っています。
石丸監督であれば、個人のところも伸ばして頂く中で、チームとしての力を伸ばしていただけるのではないかと感じ、今回就任を依頼させて頂いたという流れです。
石丸清隆新監督 挨拶
あけましておめでとうございます。
今シーズンからモンテディオ山形の監督を務めさせていただく石丸清隆です。
よろしくお願いします。
モンテディオ山形という素晴らしいクラブの監督ができるのは、大変光栄なことです。
また大きな責任も感じています。
今シーズンはチームが積み上げてきたものをしっかり大切にしながら、さらに前進させて、攻守ともにアグレッシブに戦い、躍動感あるサッカーを展開していきたいと考えています。
そして、ファンやサポーターの皆様が「もう1回見たい」、「応援したい」というチーム作りを、注いでいきたいと思っています。
選手たちがサッカーを本当に楽しまなければ、見ている人たちも楽しくないと思います。しっかり選手たちが楽しく、いきいきしたプレーができる状況を練習からも作っていきたいと思っています。
チームを一つにまとめあげて、J1昇格できるよう全力で組んでいきたいと思います。
ぜひ応援をよろしくお願いします。
質疑応答
(Q.監督が目指すサッカーのスタイルを具体的に教えてください)
理想としましては攻守ともに主導権を取るというのが本当のところですが、サッカーには相手があります。
よくポゼッションサッカーとカウンターサッカーと言われますが、もう今の時代そういう事というのはないと思います。
常に状況に応じたプレーというのが問われる時代だと思っています。
ただし、自分たちがボールを持つ時間を長くしなければいけないですし、常にゴールを目指したプレーを積み上げていきたいところです。
(Q.他のチームから見ていた山形の強みや弱みを、どう変えるのか、プラスアルファしていきたいか、そういった点について)
イメージ的には堅守というところで、昔から土台があるチームというところだと思います。
それだけでもなく、前にもしっかり経験値のある選手がいたり、バランスがいいチームという印象を昔から受けていました。
そこをどうやって変えるかと言うと、もちろん毎年選手も変わりますし、その個性も組み合わせによって、やれることが変わってくると思います。
それをしっかり見極めながら、堅守と言ってもゴールに近いところで守るのではなく、しっかり前からプレッシャー行くことや、相手コートで攻守共にやっていくというのが理想と思っています。
そこは選手には求めていきたいと思っています。
(Q.山形からオファーが来た時どのようなことを感じましたか?)
僕のイメージとして、すごく好印象があったので、オファーを頂いた時に、僕もチャレンジしたいという気持ちはありましたし、率直に嬉しかったというのが実際のところです。
その中で自分のサッカー観に近いというところも、これから積み上げられるというところで、自分のステップアップとチームのステップアップが重なり、やりがいを感じています。
(Q.去年はボールを持つことはあまりこだわらないというところがありましたが、今年は前から取ってボールを持つことで試合をコントロールするという要素を加えて行きたいということでしょうか?)
それは理想像ではあります。
先程言ったように相手があることですので、基本的にはそういう時間を増やしていきたい。
実際どれぐらい選手ができるかというのは、ちょっとまだやってみないと分からないところはあります。
そういうところもトライしながら、理想ばかり追いかけても試合は常に来ますので、しっかりできることとできないことを整理しながら、そういう時間も増やしていかないと、得点を奪う機会というのもなかなか多く作り出せないと思います。
そういったところは選手には求めていきたいと思います。
(Q.監督をやる上での哲学、一番大事にしていることは?)
全てにおいて全力で取り組むということを、自分は大事にしています。
どんなことがあっても余力を残すことなく、やってきているつもりです。
(Q.理想とする監督像、モデルはいますか?)
特にはいません。
世界のサッカーを見ても、どれくらいのことを何をしているかは表面的にしか見えてないので、一緒にやってきた監督に関してで言えば、参考になる監督は、去年やっていた反町さんは素晴らしい方でしたし、それが、自分がそれを出来るかといえばまた違うと思います。
選手も違いますし、その状況に応じて、その中の引き出しの中で参考にさせてもらうことはもちろんあります。
(Q.選手たちが楽しく生き生きプレーする状況を作らないといけないということですが、それを大事と考える理由は?また実際にどの様にされるのですか?)
見ている人が、つまらない顔をしている選手を見ても、多分面白くないと思います。
最終的には選手が自分たちのサッカーに誇りを持ち、自分たちから躍動感あるプレーをしていくと、見ている人たちもどんどんワクワクすると思います。
そういったところを選手が普段からやっていかないと急にピッチ上でやれと言われても、楽しくといっても、「見てるだけで楽しい」ではなくて、一生懸命やる中の楽しさ、自分の成長も入ってきますので、自分たちを上手くする環境を作っていかないといけないと思います。
急にサッカーが上手になる、魔法のような練習はないので、普段のトレーニングを大事にしていきたいと考えています。
(Q.フォーメーションですが愛媛は3バック、京都は4バックでした。山形ではどちらで考えてますか?)
それは両方考えます。去年初めてJ1でコーチをやらせて頂きましたが、どちらかと言うとJ2の方がちょっと特徴あるチームが、戦術的にも多いと思います。いろんな意味を含めて両方こなせるようにしておいた方が、自分達の引き出しが増やせると考えています。
違うことをどんどんやっていくと、アレルギー反応出ることもあると思うので、選手を見極めながら、どのタイミングでやるのかも含めて、色々なフォーメーションに関しては、キャンプ中にちょっと触れたいと思っています。
(Q.高山強化部長から若い選手を伸ばしてほしいという話がありましたが、選手を伸ばすのに必要なことは?)
どこまで要求するレベルを細かく見つけるかというのが、ポイントだと思います。
単純にボールを蹴れる、止める蹴る作業も、プロとして全然出来てない選手もたくさんいます。
そういった意味でも、スピード、ただ走るだけではなく、頭の早さ、ボールを止める蹴るということを正確にやっていくと、常にスピード感は生まれるということを理解してもらったり、
そういった意味で、どれくらいみんなが注意深く選手をみながら、先程言ったようなプレーできる環境が、認めてもらえる環境を作り出せると、選手は自然と自分で考えてプレーするようになってくると思います。
その点、環境は大事だと思います。
その中で、どれだけいい練習をしても、なかなか上手くならない、試合に出していくと基本的にはそういう選手というのはどんどん伸びて行ってくれると思います。
そのような競争心を煽りながら、今のところ僕も真っ白な状態ですので、だれがレギュラーか、そういう事は今のところない状況ですので、みんなにチャンスがあるというところは言えることだと思います。
(Q.J2で勝つためにどういう事をやっていかなければならないと考えていますか?)
J2ですと、ある程度やることがはっきりしていると、上位に勝てるというのが今の流れだと思います。
理想ばっかり掲げていくと、現実とは離れてしまい、強い相手に勝てなくなると言う形になりかねません。
J2ってはその辺をうまく、後ろを重くしたりしていくと、なかなか崩しきれなかったり、そういう中で一回のチャンスでゴールが生まれたりなども、流れの中でだいぶあるのかなと思います。
上に行こうと思えばカウンター志向だけですと、一昨年、松本で優勝して(J1に)上がりましたが、それだけだとちょっとしんどいなというのが実際の感想です。
自分たちがカウンターだけではなく、しっかり崩し切れる力も必要ですし、その逆にカウンターも必要だというところが、チーム的にはやっていかないと上位にも行けない、上がった時にかなりしんどいチームになると思っています。
確かにその辺は積み上げていければいいかなと思います。
(Q.山形に試合以外で来たことは何回目でしょうか?山形や山形のサポーターの印象は?)
試合以外で来たのは初めてです。東北も初めてです。サッカーでしか来たことはないです。
印象的には今年はあまり雪降っていないですが、雪深く寒い、去年までいいた松本に若干近い、人が温かいという印象です。
似ているといえば、蕎麦もそうですし、温泉とかもほぼ似た特徴なのかなと思っています。
サポーターに関して言うと、昨年プレーオフとかをちょっとテレビで拝見した時は、いい雰囲気をなんかあの時NACKで、作り出されていました。チームが一体となっているような印象を受けました。
そういう後押しは、かなり選手を動かすと思うので、ぜひ今年も選手の後押しを一緒になって作っていけたらと思います。
(Q.契約期間が2年ですが1年目はどうする2年目はどうするとかビジョンなどあれば)
2年あるからといって2年後に昇格しましょうということではなくて、しっかり昇格を狙いながら少しずつチームを変化と言うか、堅守だけじゃなくて、攻撃のところは上積みできればと考えています。
2年あるからゆっくり今年はやりますという形には、自分自身もしたくないし、しっかり今年は勝負したいと思っているので、先ほど話した通り全力で今年もやります。
(Q.J1昇格に向けて必要な勝ち点、一番大事なポイントを教えて下さい)
一般的に言われるのかJ1昇格ラインは84とか言われてますけど、3試合したら2勝ですね。
それが一般的ですが、もちろんそこを目指して、目指してと言うか1敗していいというのは今の時点では多分ないと思います。
どのチームもそれはもちろん全勝を目指す、一戦一戦毎に向き合いながらチーム作り上げていけば自ずと昇格は見えてくるのかなと思っています。
先ほど言われたように去年が失点が40、1試合平均1いっていません。もう少し積み上げると自ずとそれは昇格ラインが見えてくると思います。
それがセットプレーの守備なのかクロスの対応なのか、いろんな要素があると思うので、そこはしっかり見極めて、攻撃だけじゃなく守備もしっかり積み上げ出来ればなと思います。
(Q.攻撃面、得点はどこまで伸ばしていこうと?)
柏さんのような、個のタレントは今のところはいないと思うので、実際グループでどれぐらい取っていくか、ポジション的にも、まだ先ほども言いましたけどフォーメーションも確定していないですが、フォワードの選手だけじゃなく去年のシステムだとシャドウの選手がもっと得点を取るという環境を作らなければいけないです。
ワイドの選手も得点を奪うという環境を作っていかないと、例えば一人が抜けましたという時にチーム力がガタッと落ちることもあるかと思うので、しっかりそういうところもグループで積み上げるということは必要だと思います。
ただし、得点は何点を奪えるかというのは、まだはっきり言えないのが現状ですが、ゴールを目指すという姿勢を選手たちには求めていきたいと思います。
(Q.選手には最低限はつらつさ明るさを求める指導方針ですか?)
僕自身が幼い頃からサッカーを楽しみながらやっていた、それが多分一番上手くなる要素だと思います。
ただそれが楽しいだけじゃなくて、自分が成長するために努力するということも楽しいことだと理解していれば、その中でしんどいことも出てくると思いますが。それを乗り越えた時に楽しいこともできる。そういう部分では全員で取り組んでいきたいとに思います。
(Q.指導者の道に進んだきっかけを)
選手をやめた時に、一緒にやっていた選手たちがもどかしさや、いろんなことで悩んでいるのを見ている時に、たまたまトップのコーチのオファーを頂いて、自分の経験を伝えていくと結構反応がありました。そういうところで指導の面白さ、サッカーがどんどん面白くなりました。
元々昔から指導者向きとは言われていましたが、そんなことは実際自分では思ったことはありませんでした。
選手(自身)の能力で僕自身が変えたとは思っていないですが、選手が反応してくれることがすごい楽しかったり、そういったことで一緒に作っていくということは選手であっても、指導者であっても一緒かなと思っています。
(Q.ここ天童は将棋の街ですが、監督は将棋はしますか?)
将棋?将棋はしないですね。ちょっと勉強します。
(Q.自分を将棋の駒に例えたらという質問をさせていただこうとは思ってましたが難しいですね)
「歩」じゃないですか(笑)。
(Q.その心は?)
着実に一歩一歩と(笑)。