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公開日 2022.02.26

2022J2第2節vsロアッソ熊本 プレビュー「証明の一戦!モンテディオはスロースターターにあらず」

群馬との対戦は0-1。2017年以来の開幕戦勝利はならなかった。

相手シュートをわずか2本に抑えたが、先制したのは42分、群馬。モンテディオは何度かいい形を作りはしたが、シュートは合わせて5本。ダブルボランチの南秀仁選手、藤田息吹選手と山田康太選手など攻撃の起点となる選手やパスコースをケアされ、背後を狙うランニングも少なめ。後半の選手交代後は立ち位置を変えるなどしてサイドからクロスを上げる回数も増えたが、すでにブロックを自陣に構え、スペースを消した群馬のゴールネットを揺らすことはできなかった。

またも開幕戦の難しさを突き付けられた形だが、42分の1の敗戦をいつまでも引きずっているわけにはいかない。残りは41試合ある。取り返すチャンスはいくらでも残されている。重要なのは、ここから最大限の勝点を得ること。それができる力をモンテディオは持っている。

今節の相手は、4シーズンぶりにJ2に戻ってきたロアッソ熊本。開幕戦はアウェイで山口と対戦し、今節がホーム開幕戦となる。大木武監督となって3年目、昨シーズンから主力の多くが残っているうえ、プレシーズンの練習試合もクラブの公式でリリースされているだけでも徳島、広島(2回)、金沢、甲府と積極的に行われていることで、戦術的な浸透度はこの時期としては高いものがある。山口との開幕戦ではセットプレー絡みで先制を許したが、サイド攻略からのクロスで追いつき、最低限の勝点1を手にしている。

フォーメーションは5-3-2、あるいは、前線が縦関係になることで3-6-1のようにも見えるが、基本線は攻守にアグレッシブな姿勢だ。高い位置で奪ってからのショートカウンターは得点パターンのひとつ。カウンターを受けピンチと察した場面では複数の選手が自陣ゴールに向かいスプリントしている。

攻守の切り替えが早く、少ないタッチ数で素早くボールを動かし、90分間ハードワークする熊本のスタイルは、モンテディオも志向を同じくしているものだ。響き合うマッチアップの中でモンテディオらしさを存分に表現しながら、局面で相手を上回る。モンテディオがスロースターターではないことを証明するのが今節だ。

 

Forcused Players No.31 木村誠二

若いセンターバックがまた一人、山形の選手としてピッチに立った。群馬との開幕戦に後藤雅明、横山塁とともに先発した木村誠二のプレーには、常に落ち着きが感じられた。隣でコンビを組んだ新キャプテン・山﨑浩介もオールラウンドなセンターバックだが、木村もあらゆる局面で、冷静で的確な判断を下しプレーを続けた。

ビルドアップでは両足を駆使し、左サイドへしっかり収まるパスを供給。相手フォワードを追った勢いのまま高い位置でパスカットし、ロングボールはヘディングで跳ね返した。味方同士、特にディフェンスランの距離とバランスを首を振りながら確認し、戻る場面では持ち味のスピードも生かした。チーム合流からまだ1ヶ月半。阿吽(あうん)の連係構築にはまだ時間が必要だが、試合を重ねるごとにさらに特長を表現し、チャンスメークに深く関わるプレーも増えるに違いない。モンテディオのセンターバックの層がけっして薄くないことを証明してみせた。

まだ1試合を終えた時点だが、Jリーグ公式サイドで確認できるスタッツでもその一端がうかがえる。ロングパス成功率は100%、1試合平均プレー数148、1試合平均自陣パス数111でいずれもリーグ1位。チームとして相手ブロックの外で回す時間の多さもそうした数値に表れているが、しっかりと攻撃の土台となったことが示された。

FC東京の下部組織で育ち、2シーズンの2種登録を経て20年にトップ昇格。プロ2年目の昨シーズンは京都サンガF.C.に期限付き移籍したが、思うように出場機会が得られない中、7月にオファーを受けたSC相模原へ期限付き移籍し、3バックの一角として17試合に出場した。チームは激しい残留争いの末にJ3へ降格したが、厳しい状況での経験は、プレーヤーとしての糧になるものだ。

U-16から年代別の日本代表に選出され、半田陸ともチームメートとして長くプレーしている。「伸びしろ」という言葉では足りないほどの余白を、この1年でどこまで埋めていくのか。無限の可能性が味方だ。

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