2022J2第3節vsジェフユナイテッド千葉 プレビュー『山形から向かう初アウェイ、見せろ!「自分たちのフットボール」』
6週間の長いキャンプから戻ったモンテディオ山形は、今週から天童でのトレーニングを再開した。周囲は除雪された雪の山に囲まれ、気温もキャンプ地と比べると格段に低いが、「自分の家で自分のベッドで眠れるというのは心の安定にはつながっていて、2日間のオフでかなり精神的に回復できたなと思います」と木村誠二。生活リズムを自分でコントロールできる環境に戻り、リフレッシュしてトレーニングと向き合っている。アウェイはあと2試合続くが、チーム状態はここからさらに上がっていくはずだ。
今シーズン初勝利となった前節・熊本戦は3-0とスコアで大きく上回った。効率よく得点できたことと無失点に抑えたことが収穫となった一方、チャンスシーンの数はまだまだ物足りない。ビルドアップや守備の切り替えなどそれぞれの連係もより深め、前節より進歩した姿で今節に臨む。
3月1日、今節の対戦相手であるジェフユナイテッド千葉のトップチーム選手に新型コロナウイルス陽性者確認と濃厚接触者特定のアナウンスがあった。状況によっては試合中止も考えられ、開催されたとしても相手のメンバーが読めない状況で今週を過ごすことになったが、こうした不確定要素が多いときこそ、常に自分たちにベクトルを向けてきた経験が生きてくる。
「彼らがまた、健康になればよいということを、まず第一に考えています」。ピーター クラモフスキー監督はそう気遣ったうえで、「誰と対戦しても自分たちのフットボールをして、そして勝点3を奪って、またここに戻ってきたいと思っています」とブレない信念で勝利を誓った。
千葉は尹晶煥監督の3年目。昨シーズンのラスト13戦は負けなし(8勝5分)、失点が少ない安定した戦いで8位まで順位を上げた。今シーズンの開幕戦は岩手に0-1で敗れたが、前節は琉球に2-1で勝利。つなぐ技術も高いが、1トップのサウダーニャ、あるいは櫻川ソロモンに収まることで攻撃は加速し、バリエーションも増える。この1トップにどれだけ競り、セカンドボールを拾えるかが勝敗に直結する。
Forcused Players No.24 横山 塁
すでに今季の加入が内定していた昨年11月、モンテディオの練習に参加した際に、自らの特長をこう話していた。
「自分の特長である、右サイドの右利きということと、身長も高いので、あまり日本ではないプレーヤーだと思います。その部分をしっかり伸ばしていきたい」
180cmの長身で「大学に入る前に5秒8ぐらい出せました」というスピードもある。
大きなストライドでグイグイ仕掛けるアグレッシブなスタイルは、先発出場した開幕2戦でも発揮した。前節・熊本戦の開始早々、山﨑浩介のフィードで一気に抜け出してクロス。ゴール前に入ってきた藤本佳希の手前でカットされ、スコアは動かせなかったが、この選手が相手に与える怖さが最大限に表現されたワンプレーだった。
「まだ得点に絡めていないので、そこは数字として結果を残していかなければいけないというプレッシャーもあります」
モンテディオのサイドハーフには、自ら仕掛けるほか、ワイドで起点となり、絡んでくる味方を的確に使う役割も求められる。より結果を残すためには、周囲との連係やラストパスなど最後の質の精度をより高める必要がある。ここ2試合を経て、本人も痛感している課題だ。しかし、そこを改善する途上で、もっとも持ち味としている推進力や仕掛けの迫力を欠くことになっては宝の持ち腐れだ。
ただしこのルーキー、メンタルはそう柔ではない。開幕先発を勝ち取った自身のプロデビュー戦でも「あまり緊張しない」と明かしている。また、その試合が「いい内容じゃなかった」としても、「一喜一憂せず、次に切り替えてやろう」と引きずる様子を見せず、熊本戦でパフォーマンスを向上させた。この先つまずくことがあっても構わず足を前に出し続け、プラスの結果につなげてくれそうな雰囲気がある。
「自分のスタイルと山形のスタイルをしっかり融合できれば自ずと点とかアシストが取れると思う」
その核心に向けて、いまはただ突っ走るのみだ。